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津地方裁判所 昭和41年(ワ)52号 判決

原告

内田政二郎

被告

三重近鉄タクシー株式会社

ほか三名

主文

被告三重近鉄タクシー株式会社、同松本二三夫、同藤田龍二は各自原告に対し金一五五万五、三九五円およびこれに対する昭和四一年四月二六日から支払ずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

原告の被告西井佐吉に対する請求および右第一項の被告らに対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用は、原告と被告西井佐吉との間に生じた分は原告の負担とし、原告とその余の被告らとの間に生じた分はこれを五分し、その二を原告、その余は全部被告三重近鉄タクシー株式会社、同松本二三夫、同藤田龍二の負担とする。

この判決は第一項に限り、同項の被告らに対しそれぞれ金三〇万円の担保を供するときは、その被告に対し仮りに執行することができる。

事実

第一、当事者の求める裁判

一、原告

(一)  被告ら四名は連帯して原告に対し金二三七万三、二七〇円およびこれに対する昭和四一年四月二六日より支払いずみに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  訴訟費用は被告らの負担とする。

(三)  仮執行宣言の申立。

二、被告

(一)  原告の各被告に対する請求はいずれもこれを棄却する。

(二)  訴訟費用は原告の負担とする。

第二、請求原因

一、(事故の発生とこれによる原告の負傷)

原告は昭和三八年四月一〇日午後八時一五分頃松阪市川井町二七二二番地先附近の県道上において第二種原動機付自転車(シルバービジョン、以下原告車と略称する)を運転し、被告松本の運転する小型四輪乗用自動車(三重五あ二、七五二号、以下被告車と略称する)の後方を追尾して大橋方面から松江方面に向け進行中、前同所において被告車が道路中央寄りに停車しようとしたので、原告は後方から警笛を吹鳴して安全を確認しつゝ被告車の右側を通過しようとして被告車の右側に進出したところ、被告車が道路中央附近に停車すると同時に突然その右側ドアが開放し、これが原告の運転する原告車の左手ハンドル附近を強くはね、その衝撃で原告は道路右側のコンクリート製側溝に転倒させられた。

その結果原告は頭部、右肩胛部、右膝関節部、腰部、背部各打撲傷、左中指皮下血腫、右肘関節部擦過傷の傷害を受け、直ちに松阪市の串外科に運ばれて応急手当を受けたほか松阪市鎌田町の三重県厚生農業協同組合連合会中央総合病院と恩賜財団済生会松阪病院で入院或いは通院治療を受けたが、傷病は完治するに至らず頭痛、眩暈、耳鳴、右上腕神経痛、右肩関節運動障害、複視(外傷性斜筋不全麻痺)、右眼の頭部外傷による黄斑部溷濁による視力減退という後遺症を負うたまゝ現在に至つている。

二、(被告らの責任)

(一)  被告三重近鉄タクシー株式会社(以下被告三重近鉄タクシーと略称する)は被告車の所有者であり、かつこれをその営む旅客運送業のため運行の用に供しているものであつて、右の本件事故は右被告のための運行中に生じたものである。

また、被告松本は被告三重近鉄タクシーの運転手として雇傭されている被用者であり、本件事故は被告松本が被告三重近鉄タクシーの業務のために被告車を運転中後記のような過失により発生せしめたものである。

(二)  被告藤田は被告車の客として後部客席右側に同乗していた者であるが、相客の被告西井と共に本件事故現場の手前で被告松本に対し停車を命じ、被告車が停止するや、それが道路中央付近に停止しているにもかゝわらず、後続車両の有無も見定めないで突然被告車の後部右ドアを開放し、その過失によつて本件事故を発生せしめたものである。

(三)  被告西井は被告藤田の使用者であつて被告車の後部左側客席に同乗していた者であるところ、本件事故は被告藤田が被告西井に同道して勤務先の西井商会への帰途においてなした右の過失行為により発生したものである。

(四)  被告松本は停車に際して後続車両の有無等、後方を確認することなく突然道路中央附近に被告車を停止させ、かつ乗客の被告藤田が右側から下車しようとして右側ドアを開放するのを制止しなかつたのであるから、タクシー運転手として当然なすべき措置を怠つたものとして、本件事故の発生につき過失があつた。

(五)  従つて被告近鉄タクシーは自動車損害賠償保障法第三条、民法第七一五条により、被告西井は民法第七一五条により、被告藤田、同松本は同法第七〇九条により、原告の本件事故より生じた次の損害を賠償する義務がある。

三、(損害)

原告が本訴を提起するまでの昭和四一年三月末日までに出捐した損害額は次のとおりである。

(一)  (代替労務費)

原告は肩書地において農業を営んで来たものであるが、本件事故以来殆ど稼働することができず、それ故従前の農地を肥培管理していくためにやむを得ず労務者を雇い、その代替労務費として金四六万四、六八五円(食費を含む)を支払い同額の損害を受けた。

内訳

(イ) 昭和三八年度分 金一二万五、八八五円

(ロ) 昭和三九年度分 金一四万五、八七〇円

(ハ) 昭和四〇年度分 金一五万七、二七五円

(ニ) 昭和四一年度分 金三万五、六五五円

(二)  (治療費、付添人費、栄養食費、交通費等)

原告は入院ないし通院中の治療費として金一九万一、九七七円を支払い、また右治療中の付添看護費、滋養物代等として合計金七一万六、六〇八円を支払い、各同額の損害を受けた。

治療費以外の内訳

(イ) 付添看護費 金七万六、八〇〇円

(ロ) 滋養物代 金一八万二〇四円

(ハ) 通院自動車代 金二一万六〇円

(ニ) 通院付添バス代 金一万一、二八〇円

(ホ) 付添依頼者バス代 金二万七、六二〇円

(ヘ) 通院雑費 金三万七、六五〇円

(ト) 通院付添雑費 金四万一、六三〇円

(チ) 諸雑費 金五万七、三四五円

(リ) 電報電話代 金二万一三七円

(ヌ) 眼鏡代 金六、二〇〇円

(ル) 依頼者交通費 金四万七、六八二円

(三)  (慰藉料)

原告は独身で老母を扶養してきたが、本件事故による受傷の結果不具者になり、老母も心痛のあまり病に倒れてしまつた事情にあり、原告は精神上多大の苦痛を受けた。その慰藉料は金一〇〇万円が相当である。

四、よつて原告は被告らに対し、連帯して金二三七万三、二七〇円とこれに対する本訴々状が被告ら全員に送還された日の後である昭和四一年四月二六日から支払ずみに至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三、被告らの答弁並びに抗弁

一、請求原因第一項の事実中、原告がその主張の日時、場所において原告車を運転し、被告松本の運転する被告車の後よりその右側を追越そうとしたこと、その際原告が道路右側の溝附近に転倒したこと、そして原告が直ちに串外科において治療を受け、その後中央総合病院や済生会病院で治療を受けたことは認めるが、その他の事実は否認する。

被告松本は被告車を道路左側端に沿つて停止させたものであり、被告車の右側には三輪自動車や四輪自動車が優に通過できる程余裕があつた。被告車の右側ドアは開いていない。

二、同第二項の事実については

(一)  その(一)の事実中、被告三重近鉄タクシーが被告車の所有者であつて、これをその営む旅客運送業のため運行しているものであること、被告松本が被告三重近鉄タクシーの運転手として雇傭されている被用者であること、本件事故時に本件事故現場における被告松本の被告車の運転停止が被告三重近鉄タクシーの業務の執行であることは認めるが、その余の事実は否認する。

被告松本に過失がなかつたことは後記(四)のとおりである。

(二)  その(二)の事実中、被告藤田が被告車の後部右側客席に同乗していたことは認めるがその余の事実は否認する。

被告藤田は右側ドアを開扉しようとしたが、事前に運転手の被告松本がこれを制止した。

(三)  その(三)の事実中、被告西井が被告車の後部左側客席に同乗していたこと、そして被告藤田と共に被告西井宅へ帰るために被告車を利用してきたものであることは認めるが、その余の事実は否認する。

被告西井は被告藤田の使用者ではない。右被告らの被告車を利用しての帰宅は被告西井の業務と何等の関係もないことである。

(四)  その(四)の事実は否認する。

被告松本は先にも述べたとおり被告車を道路左端に停車させ、被告藤田が右側ドアを開扉しようとしたので、事前にこれを制止したものである。

三、同第三項の事実中原告が従前農業を営んでいたことは認めるが、その他の事実は否認する。損害の数額も争う。

四、被告らの抗弁および主張

(一)  仮りに被告車のドアが停車した際開き、これが原告車に接触して本件事故となつたものであつて、それにつき被告らに責任ありとしても被告車は路上左側に停車したのであるから、先に述べたとおりその右側にはなお三輪又は四輪自動車が優に通過することのできる程余裕があつたうえ、停車直前には被告車の尾燈もつき、後続車両の通過に何らの障害にもならなかつた筈である。それ故たとい被告車の後部右扉が被告らのうちのなんぴとかの過失によりこれが開かれたとしてもドアの幅は全開しても七二センチメートルにすぎないのであるから原告において停車々両を追い越すに当り通常一般にとられる間隔をおいて通過していたならば本件事故は容易にさけられたものである。要するに本件事故は原告車が被告車の停車位置に極めて接近して通過しようとしたため生じたものであり、本件事故の発生については原告にも過失があつたから過失相殺されるべきである。

(二)  仮りに被告らに責任ありとしても、被告藤田において原告に対し治療費等として合計金四万九、五八〇円を支払つた。

(三)  なお被告車の後部右側ドアや蝶つがいには原告車の左手ハンドルと接触したとみられる損傷箇所がなかつたし、原告の左手にも格別の負傷がないことは、被告車と原告車が接触していないことの証左である。原告は本件事故後、直ちに松阪市串外科に至り診察を受けたが右肩に打撲症を受けたにすぎなかつたものですでに全治した。原告は中央総合病院に入院したが他の患者と相室というのが気に入らないため済生会病院に転入院し、それも一カ月位で退院してよいと言い渡されたのに敢えて二カ月程入院していたものであると付陳した。

第四、抗弁に対する原告の答弁

一、被告らの前記第三の四の(一)(二)の各抗弁事実は否認する。

第五、証拠〔略〕

理由

一、原告は昭和三八年四月一〇日午後八時一五分頃、松阪市川井町二七二二番地先の県道上を原告車を運転し大橋方面から松江方面に向つて進行中、被告松本が運転し被告藤田が後部右側座席に、同西井が後部左側座席にそれぞれ同乗していた被告車の後よりその右側を追越そうとしたこと、そうして被告車が停止し原告車がその右側に進出した際原告か道路右端のコンクリート製側溝附近に転倒したことは、いずれも当事者間に争いがない。

検証の結果によれば、本件事故現場はほぼ南北に通ずる舗装された幅員約四・九メートルの歩車道の区別のない県道であつて、路面には二輪車の操縦を困難ならしめる如き瑕疵はなく、現場附近から南北約一〇〇メートルに亘る区間はほぼ直線であつて何等視界をさえぎる物もないこと、また、〔証拠略〕によれば、原告は本件事故の際左中指皮下血腫の受傷をしていることが認められるが、他方本件全証拠によるも飲酒その他運転に支障を招く欠陥が原告にあつたと窺わしめるものはなにもない。

以上の事実に、〔証拠略〕を併せ考えると、被告松本において乗客の被告藤田、同西井を降車させるため道路中心点より約四、五〇センチメートル左側寄りに被告車を停止させた途端、被告藤田が降車すべく突如右側ドアを開いたがために、その右側を通過しようとしていた原告としては、避ける間もなく左手ハンドルに被告車の右側ドアを接触され、運転の自由を失つて道路右端に原告車諸共横転させられ、さらに原告は道路右側のコンクリートの側溝附近に投げ出され、その結果頭部、右肩胛部、右膝関節部、腹部、背部各打撲傷、左中指皮下血腫、右肘関節部擦過傷の傷害を受けたことを認めることができ、原告及び被告松本の各本人尋問の結果中右認定に抵触する部分は信用することができず、他に右認定を覆えすに足る確たる証拠はない。

二、そこで被告らの責任の有無について判断する。

(一)  被告藤田は、右認定事実によれば、原告が原告車を運転して被告車の右側を通過しようとしていたのにもかゝわらず、降車するに際して何ら後方を確認することなく突如被告車の後部右ドアを開き、よつてもつて本件事故を発生させたのであるから、それは同被告の過失によるものというべく、従つて、同被告としては民法第七〇九条により本件事故により生じた原告の後記損害を賠償すべき義務がある。

(二)  次に被告松本の責任についてみてみるに、〔証拠略〕によれば、被告松本は乗客の被告藤田、同西井を「ヤジキタ」という酒場から乗せてきたものであつて、右両被告が相当酩酊していたことは十分に知悉していたのに、停車して右両被告を降車させるに際し、その挙動に関して格別の注意を払わず、被告西井に対し漫然と釣り銭を渡そうとしていた間に、前認定の如く被告藤田に後部右ドアのスナップに手をかけられ、これに気付いて急遽ドアの開放を制止しようとしたものの間に合わず、遂に開かれてしまつたことが認められる。ところで酔客がしばしば異常な行動をとることはよくあることであるから、酔客を乗せたタクシーの運転者としては、客の挙動に関して格別の注意を払い危険な事態に至ることを防止するために臨機応変の措置をとるべきは当然であり、本件においても、被告松本としては右側客席の被告藤田が酩酊していただけに、停車するに際しまずもつて被告藤田に対して右側ドアを開放しないように呼びかけるとか開閉装置に鍵をかける等タクシー運転者としてなすべき一臂の労を怠らなかつたならば、本件事故は防止しえた筈である。その意味において被告松本も本件事故の発生につき過失があつたものというべきである。従つて同被告もまた本件事故により生じた原告の後記損害を賠償する義務がある。

(三)  次に被告三重近鉄タクシーについては、同被告が被告車の保有者であること当事者間に争いがなく、そうして前記一、で認定した事実によれば、本件事故はその運行によつて生じたものというべきところ、同被告においては自動車損害賠償保障法第三条但書所定の免責要件についての主張がないのみならず、右(二)で認定したとおり運転者たる被告松本に過失が認められる以上同被告は本件事故により生じた原告の後記損害を賠償しなければならない。

(四)  最後に被告西井についてみてみるに、〔証拠略〕によれば、被告藤田は被告西井の下でその営む電気工事業を専属して下請けしていることを認めることができ、〔証拠略〕を併せ考えると、被告西井は被告藤田の使用者ということができないわけではないが、右被告ら各本人尋問の結果に徴し明らかなとおり、被告西井方の営業は本件事故当日は一日中休みであつて午後零時頃より同四時頃まで被告藤田ら下請業者と松阪公園で花見の宴を催したが、被告ら両名はその終了後「ヤジキタ」という酒場で全く私的な二次会を行なつて後被告車を利用して本件事故現場まで帰つてきたものであるから、被告藤田の本件行為が被告西井の事業の執行につきなされたものといえないことは明らかである。

従つて被告西井は民法第七一五条による責任を負う義務はないものといわなければならないから、原告の同被告に対する請求はその余の点につき判断するまでもなく理由がないものとして棄却を免れない。

三、進んで損害の数額について検討する。

(一)  〔証拠略〕に徴すると、原告は本件事故により前記一、で認定したような傷害を受け、直ちに松阪市の串外科において治療を受けた後、昭和三八年四月一五日から同月一八日までの四日間松阪市鎌田町の中央総合病院に入院し、さらに同月二〇日から同年六月二三日まで松阪市朝日町の済生会松阪病院に入院して治療を受けたほか、その後も中央総合病院へ通院して現在に至つているが、経過は徐々に軽快に向つているとはいえ良好とはいえず、頭痛、眩暈、耳鳴、右上腕神経痛、右肩関節運動障害、複視、視力減退などの後遺症に悩まされており、家業の農業も軽作業を除いて殆んどできない事情にあることが認められ、〔証拠略〕は措信できず他に右認定を覆えすに足る証拠はない。

(二)  〔証拠略〕によれば、原告は右認定のとおり本件事故に遭遇した後は家業である農業に殆んど従事できないために、五五・四九アール(五反六畝)余りの田地を肥培管理していくうえでやむを得ずこれを他人に請負わせたり或いは労務者を雇い少なくとも次の金員を支払い同額の損害を受けたものと認められる。

1  昭和三八年分 金七万一、六〇〇円

内訳

(1) 田植時期の作業費(反当り四、〇〇〇円)金二万二、四〇〇円

(2) 収穫時期の作業費(反当り四、五〇〇円)金二万五、二〇〇円

(3) 田植から収穫期に至る間の肥培管理費(日当八〇〇円の三〇日分)金二万四、〇〇〇円

2  昭和三九年分 金八万五、九二〇円

右1の二割増

3  昭和四〇年分 金一〇万二四〇円

右1の四割増

4  昭和四一年分 金三万一、四四〇円

右1の(1)の四割増

以上合計金二八万九、二〇〇円

(三)  〔証拠略〕によれば、原告は治療費として昭和四一年三月末日までの分として金一八万二、七九五円を支払い同額の損害を受けたことが認められる。

(四)  〔証拠略〕によれば、原告は付添人の費用として金七万六、八〇〇円を支払い同額の損害を受けたことが認められる。

(五)  次に栄養費、交通費等について検討するに、原告は本人尋問において一応請求原因三の(二)の(ロ)ないし(ル)のとおりの金員を出捐した旨供述しているが、その供述内容からも明らかなようにそのすべてが相当因果関係のある出捐とは認めがたい。

しかしおよそ傷病により入院或いは通院治療を受けている者は、その間健康な日常生活をしていたときよりもより多額の生活費を要することは公知の事実というべく、而して本件原告の場合には、その受傷の程度と治療の経過が前認定の如くである以上、これが一日当り金二〇〇円を下らないものと認めてさしつかえないものと考える。従つて原告はその主張する栄養費、交通費、その他諸雑費として本件事故後昭和四一年三月末日までの間に少なくとも金二五万五、六〇〇円(一二七八日×二〇〇)の損害を受けたものと認める。

(六)  慰藉料

前記(一)で認定した事実に事故の態様その他諸般の事情を参酌するときは、原告の慰藉料は金八〇万円をもつて相当と認める。

従つて原告の損害額は金一六〇万四、三九五円となることは計数上明らかである。

四、被告らは過失相殺を主張するが、前記一で認定した事実関係のもとにおいては採用のかぎりでない。

五、被告藤田において入院費等として少なくとも金四万九、〇〇〇円を支払つたことは同被告本人尋問の結果明らかである。

六、してみると、被告藤田、同松本、同三重近鉄タクシーは原告に対し金一五五万五、三九五円およびこれに対する本訴々状が右被告らに送達された日の後であること記録上明らかな昭和四一年四月二六日から支払ずみに至るまで年五分の割合による遅延損害金を各自支払う義務があるものといわなければならないから、原告の右被告らに対する請求は右の範囲で認容するが、その余は失当として棄却を免れない。

七、よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条、仮執行の宣言につき同法第一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山忠雄)

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